翠波鉄道管理局 テーマ特集:「銀マニ」

 2004年春、とある鉄道輸送業務が終焉を迎えました。その業務とは、「日本銀行券輸送」−要するに現金輸送です。この用途のために、国鉄線上には日本銀行が所有する専用荷物車があり、隠密理に運行されていました。

 この日本銀行券輸送線用荷物車は形式を「マニ30」と称し、一見すると普通の荷物車のような外観をしていますが、子細に見れば窓のない物々しい荷物室や警備員室、屋根の上に搭載された各種無線アンテナ等、独特の仕様がある種の魅力を発散する「怪しい」車両でした。

 その性格からその存在が一般に知られることはほとんどなかったのですが、今般の引退に伴い趣味雑誌に特集記事が掲載されたり、小樽に実車が保存されるなど、にわかに注目を集めています。

 実を申しますと、「ぷち」も過去に2回だけ実車を撮影したことがあり、うち1回は四国島内での撮影でした。今回はその折の様子をご紹介させていただきます。

<マニ30形式 概要>
マニ30 2007〜2012 (6両)
全長21.3m・自重30.8t・荷重14t
1978(昭和53)〜79(昭和54)年 日本車輌にて新造
2004(平成16)年 用途廃止・廃車

客車列車に連結されたマニ30

以下の3枚は、「その他の列車1」に掲載したものと同じ日に撮影しました。

四国島内の日本銀行券輸送は、従来キユ車の護送室が使われていたのですが、1986年のキユ車引退に伴って、マニ30が乗り入れるようになりました。
 これは予讃本線の128列車のカマ次位に連結されたマニ30をフカンしたものです。扉も窓もないのっぺらぼぅな妻面と、屋根上の各種アンテナ群が、この車両の特殊な用途を象徴しています。

1986-10 新居浜

伊予三島に停車中のマニ30

上写真とは反対側サイドビューです。こちら側車端部には車掌室があり、マニ50荷物車によく似た印象ですが、全長はキハ車並みに21.3mと長くなっています。

しかし幅2mの窓のない荷物室扉、中央部の冷房完備の警備員室など、他のマニとは明らかに異なる風貌です。

1986-10 伊予三島

マニ30の車体中央部

冷房完備の警備員室には、グリーン車仕様のリクライニングシートと、オロネ仕様のプルマン寝台が備えられていたそうです。

1986-10 伊予三島

貫通側妻面から見たマニ30

岡山駅で初めて遭遇した時に撮ったものです。一説によれば、列車最後尾に連結されているときは、「空荷」なんだとか・・・。

1982-10 岡山

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